優しい嘘

2004年2月4日 ひとりごと
この時期になると思い出す。
春が来るのを心待ちにしながら、その年の春を迎えられなかった彼女のこと。

言葉を交わしたことは、決して多くはなかった。
だけど、彼女のことは今でも心の奥深くに残っている。

こうやって残っていることがいいのか悪いのかはわからない。

彼女は、周りの人たちに心配をかけないようにと嘘をついた。
それを聞いた私は、何の疑いも無くそれを信じた。
嘘だとわかったのは、彼女がいなくなってからだった。

本当のことを知ったところで、あの時も、たとえ今でも、私は何も出来なかった。
出来ないと思う。
そして、知ってしまっていたら、きっと態度に出てしまっていた。
 
とてもとても優しい嘘だったけど、やっぱり本当のことを知っていたかった。
後になって知るのは、やっぱりとっても辛かったから。

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